Firefox 139 がリリースされた
Mozilla は米国時間 2025 年 5 月 27 日、安定性及びセキュリティ問題の修正を含む Firefox のメジャーアップデート版である Firefox 139.0 をリリースした。延長サポート版である Firefox ESR もバージョン 128.11.0 および 115.24.0 がリリースされている。
Firefox 139.0 での新機能や改良点、セキュリティ修正、既知の問題は次のとおり。
新機能及び改良点
- 新機能
- リクエストが多かった、Firefox の 拡張ページ (アドオンマネージャー about:addons ではなく
moz-extension://
URL スキームから始まるアドオンによって用意されたページ) のページ翻訳が可能となった - 新機能
-
新しいタブのカスタム壁紙、色の設定が利用可能となった。自分の好きな画像を壁紙としてアップロードしたり、好きな色を選択可能となる。この機能はローリング展開の対象であるが、Firefox Labs からすぐに有効にすることもできる。新しい壁紙や宇宙カテゴリーも追加されている
- 新機能
- リンクプレビュー が実験的機能として利用できるようになった (Firefox Labs から有効にする必要あり)。リンクにマウスをホバーした状態で Alt+Shift を押すことでプレビューを閲覧できる
- 修正
- 透過度が指定された PNG 画像を Firefox に貼り付けたときに透過度が保持されるようになった
- 修正
- HTTP/3 のアップロードパフォーマンスが大幅に向上、特に resumed connections (QUIC 0-RTT) 、高帯域幅、高遅延環境において顕著に向上
- 変更
- Windows 版 Google Chrome における最近の変更のため、Firefox の設定移行ウィザードで Chrome および Chromium ベースのブラウザーからのパスワードの直接インポートができなくなった。回避策として、Chrome から CSV 形式でパスワードをエクスポートし、それを Firefox の設定移行ウィザードあるいはパスワードマネージャーからインポートすることができる
- 変更
- レビューチェッカー (Amazon などオンラインショッピングのユーザーレビューの真偽をチェックする機能) が 2025 年 6 月 10 日以降は利用できなくなる
- Enterprise
- エンタープライズ用途向けの詳細は Firefox for Enterprise 139 リリースノート を参照されたい
- Developer
- Mozilla Connect および Stack Overflow におけるユーザーリクエストに基づき、開発ツールのツールボックスのセクションを跨いでフィルター設定が保持されるようになった
- Developer
- デバッガーのルートディレクトリが特定のドメインにスコープされるようになった。これにより、典型的な利用法に合致し、関係ないドメインにてきようされることを防げるようになった (詳細)
- Developer
- デバッガー上でポーズしている行の表示を改善。特に高コントラストモードにおける視認性を向上
- Web Platform
- Temporal proposal による Date の改善を 既定で有効化
- Web Platform
- ワーカーにおけるタイムスロットルをサポート
- Web Platform
- 閉じた
<details>
要素を検索可能になり、ページ内検索では自動的に展開されるようになった - Web Platform
hidden=until-found
アトリビュートをサポート。ページ内検索で見つけるまでは既定で非表示となる- Web Platform
window.getSelection().toString()
がテキストコントロール内で選択されたテキストに対してもシリアル化されたテキストを正しく返すようになった。ウェブブラウザー間における相互運用性を向上- Web Platform
- WebAuthn の largeBlob extension をサポート
- Web Platform
HTMLDialogElement
におけるrequestClose()
をサポート- Web Platform
contenteditable
およびdesignMode
のビルトインエディターが折りたたみ可能なホワイトスペースをブロック境界やホワイトスペースによるシークエンスよりも前に扱うようになった。これによりパディングとして<br>
要素をブロック境界の前に置かれたホワイトスペースの後に挿入しなくなり、他のウェブブラウザーと同様の挙動となる
セキュリティ修正
このアップデートでのセキュリティ問題への修正は合計 10 件、重要度区分において 最高 1 件、中 6 件、低 3 件が修正されている。
- MFSA-TMP-2025-0001
- Double-free in libvpx encoder
- CVE-2025-5263
- Error handling for script execution was incorrectly isolated from web content
- CVE-2025-5264
- Potential local code execution in “Copy as cURL” command
- CVE-2025-5265
- Potential local code execution in “Copy as cURL” command
- CVE-2025-5266
- Script element events leaked cross-origin resource status
- CVE-2025-5270
- SNI was sometimes unencrypted
- CVE-2025-5271
- Devtools’ preview ignored CSP headers
- CVE-2025-5267
- Clickjacking vulnerability could have led to leaking saved payment card details
- CVE-2025-5268
- Memory safety bugs fixed in Firefox 139, Thunderbird 139, Firefox ESR 128.11, and Thunderbird 128.11
- CVE-2025-5272
- Memory safety bugs fixed in Firefox 139 and Thunderbird 139
既知の問題
- 未解決
- NVIDIA の GPU およびリフレッシュレートが異なる複数のモニターを利用している環境においてグラフィック表示がおかしくなることがある。
gfx.webrender.dcomp-win.enabled
をfalse
に設定、再起動することで一時的に回避できる。バージョン 139.0.1 で修正予定
Firefox 139.0 についての一般的な情報は リリースノート を、開発者向けの情報は MDN および Mozilla Developer YouTube チャネル を参照されたい。
アップデート及びシステム要件
Firefox 139.0 は Windows, Mac そして Linux 版が用意され、Mozilla ウェブサイトよりダウンロード可能となっている。また、80 以上の言語に対応した各国語版は 次世代ブラウザ Firefox – 各国語版のダウンロード よりダウンロード可能となっている。また、既存の Firefox 4 以降のユーザには自動アップデート経由で通知されるが、Firefox メニューの “Firefox について” より手動でアップデートすることも可能だ。
Firefox 139.0 の利用に必要なシステム要件については、Firefox 139 システム要件 を参照されたい。
- ダウンロード:
- 139.0, ESR 128.11.0, 115.24.0
- リリースノート:
- 139.0, ESR 128.11.0, ESR 115.24.0
- セキュリティアドバイザリ:
- MFSA 2025-42 (139.0), MFSA 2025-44 (ESR 128.11.0), MFSA 2025-43 (ESR 115.24.0)