Thunderbird 78.2.0 がリリースされた
Mozilla は米国時間 2020 年 8 月 25 日、新機能の追加及び安定性の問題を修正した Thunderbird のマイナーアップデート版である Thunderbird 78.2.0 をリリースした。
Thunderbird 78.2.0 は Firefox ESR 78 と同じレンダリングエンジンを搭載しており、バックエンドも Firefox ESR 78.2 相当となっている。
Thunderbird 78.2.0 は、thunderbird.net からの直接ダウンロードによってのみ提供され、Thunderbird 68 およびそれ以前のバージョンからの自動アップグレードは行われない。今後リリースされるバージョンにおいて、自動アップグレードが行われる予定である。
Thunderbird 78.0 より、アドオンのサポートについて大きな変更が行われている。Firefox と同様、旧式のアドオンのサポートが終了し、MailExtension 形式のみのサポートとなる。現在利用中のアドオンが更新されているか確認されたい。
Enigmail を利用中のユーザーは、現時点では Thunderbird 78.2 へ更新するべきではない。Thunderbird 78.2 において OpenPGP 機能の実装は完了したが、さらなるテスト・修正・ローカライズのため、バージョン 78.2.0 の時点では既定では無効化されている。自動アップグレードの開始までは、68.x 系列の利用を継続することが推奨される。テスト目的での OpenPGP 機能の有効化については こちらの記事 を参照されたい。
Thunderbird 78.2.0 での新機能や改良点は次のとおり。
新機能及び改良点
- 変更
- 既定のメールアカウントが設定されていない場合、OpenPGP の鍵生成を無効化した
- 変更
- OpenPGP: OpenPGP が有効化されている場合、下書きが暗号化して保存されるようになった
- 変更
- Twitter 検索を除去
- 変更
- カレンダー: 予定のサマリーダイアログにテーマが適用されるようになった
- 変更
- MailExtensions: いくつかの APIs が defineLazyPreferenceGetter を使用するようになり、キャッシュの恩恵を受けるようになった
- 修正
- OpenPGP 鍵マネージャーでの検索が機能しない問題を修正
- 修正
- OpenPGP 鍵のプロパティーダイアログが小さすぎることがある問題を修正
- 修正
- OpenPGP: メールアドレスに大文字が含まれていると暗号化されたメッセージを送信できない問題を修正
- 修正
- OpenPGP: 鍵マネージャーにおいて “鍵 ID” 列の幅を変更できない問題を修正
- 修正
- OpenPGP: 不正な UTF-8 文字列を含む鍵をインポートできない問題を修正
- 修正
- OpenPGP: 特定の状況において暗号化されたメッセージへの自動的な署名を有効化
- 修正
- OpenPGP に関する多くの修正と改善
- 修正
- IMAP Fetch のチャンクサイズが常に 65536 バイトになっていた問題を修正
- 修正
- チャンクをサポートする IMAP サーバーから大きな添付ファイルをダウンロードすると破損することがあった問題を修正
- 修正
- SSL/TLS 接続の更新後に IMAP サーバーの利用可能な機能が再確認されない問題を修正
- 修正
- メッセージ作成: ドラッグ & ドロップによって添付ファイルの順番を変更できない問題を修正
- 修正
- 固定幅フォントを使用してメッセージを作成できない問題を修正
- 修正
- アドレス帳の連絡先のドラッグ & ドロップが機能しないことがある問題を修正
- 修正
- ファイル名に . (ドット) が含まれているとアドレス帳の移行に失敗する問題を修正
- 修正
- アドレス帳: 連絡先を編集すると 「アドレス帳に登録されている人については宛先フィールドで <メールアドレス> 部を表示しない」にチェックが入ってしまう問題を修正
- 修正
- アドレス帳のパフォーマンスの最適化
- 修正
- 「アカウント設定」から新規メールアカウントの作成ダイアログを開くことができない問題を修正
- 修正
- メッセージソースの表示において、マウスクリックによってフォーカスが移らないと「すべて選択」(Ctrl+A) が機能しない問題を修正
- 修正
- Ctrl + ホイールスクロール によるメッセージの拡大/縮小が機能しない問題を修正
- 修正
- アカウント設定を閉じるとファイルからの署名の設定・変更が失われる問題を修正
- 修正
- 迷惑メールの適応ログの設定を無効化できない問題を修正
- 修正
- メッセージフィルターのダイアログを修正: スクロールバーが表示されない、ドロップダウンリストの幅が十分ではない
- 修正
- UX およびテーマに関する多くの改善
セキュリティ修正
このアップデートでのセキュリティ問題への修正は合計 3 件、重要度区分において 高 3 件が修正されている。
- CVE-2020-15663
- Downgrade attack on the Mozilla Maintenance Service could have resulted in escalation of privilege
- CVE-2020-15664
- Attacker-induced prompt for extension installation
- CVE-2020-15670
- Memory safety bugs fixed in Thunderbird 78.2
Thunderbird 78.2.0 で修正された全ての問題は Mozilla.org bugs fixes (英語) を参照されたい。
その他、Thunderbird 78.2.0 についての一般的な情報は Thunderbird 78.2.0 リリースノート を参照いただきたい。
アップデート及びシステム要件
Thunderbird 78.2.0 は Windows, Mac, Linux 版が用意され、Mozilla ウェブサイトよりダウンロード可能となっている。また、50 以上の言語に対応した各国語版は 各国語版のダウンロード よりダウンロードできる。
Thunderbird 78.2.0 の利用に必要なシステム要件については、Thunderbird 78.2.0 システム要件 を参照されたい。Firefox 78 と同様 Linux における最低システム要件が変更されており、GNU libc 2.17, libstdc++ 4.8.1, GTK+ 3.14 以降が必要となる (バージョン 68 までは GNU libc 2.17, libstdc++ 4.7 以降であった)。
- ダウンロード:
- Mozilla
- リリースノート:
- Thunderbird 78.2.0 リリースノート
- セキュリティアドバイザリ:
- MFSA 2020-41
- 修正されたバグ:
- Bug Fixes (英語)