SeaMonkey 2.53.2 がリリースされた
Mozilla Application Suite の開発をコミュニティベースで継続している The SeaMonkey® Project は米国時間 2020 年 5 月 3 日、安定性及びセキュリティ問題を修正を含む SeaMonkey のメジャーアップデート版である SeaMonkey 2.53.2 をリリースした。
SeaMonkey 2.53.2 は Firefox ESR 60.3 と同じレンダリングエンジン Gecko 60 を搭載しており、バックエンドも Firefox ESR 60.3/Thunderbird 60.3 相当となっている。アプリケーションの内容としては、これまで通りブラウザ、メール & ニュースクライアント、Web 開発ツールを搭載したオールインワンパッケージとなっている。
ユーザープロファイルの構成の変更に伴い、バージョン 2.49.5 以前からのアップグレードに際して以下の注意点がある。
- マスターパスワードを利用している場合にはバージョン 2.53.1 以降へのアップデートの前にこれを解除する必要がある。設定メニューの「マスターパスワードを変更」から、パスワード欄を空白にすることでマスターパスワードを解除できる。「パスワードのリセット」機能を使うと、保存されているすべてのログイン情報が削除されるため注意が必要である。
- アップデートの完了後には、プロファイルフォルダー内の key3.db および cert8.db の 2 つのファイルを削除する必要がある。これはログイン情報を含む古い形式のファイルである。
Chatzilla、DOM Inspector、Lightning に加え、SeaMonkey Debug and QA UI のベータ版が本リリースには同梱されている。
新機能及び改良点
このアップデートでは、Firefox ESR 60.3/Thunderbird 60.3 相当の機能修正が行われているほか、以下の SeaMonkey 固有の修正が行われている。
- SeaMonkey
- bug 1625754 により、スクロールバーが gtk3 ネイティブテーマに変更された。スクロールバーボタンが表示されない場合、~/.config/gtk-3.0/gtk.css を編集し以下を追加されたい:
* { -GtkScrollbar-has-backward-stepper: 1; -GtkScrollbar-has-forward-stepper: 1; }
- SeaMonkey
- ダウンロードダイアログが修正され、正しいステータスが表示されるようになった。いくつかのウェブサイトにおいて残り時間が表示されない問題については継続して調査中である
- SeaMonkey
- フィンランド語およびグルジア語のサポートを追加
- SeaMonkey
- ウェブサイトの互換性の問題とプライバシー保護の観点から、Lightning のバージョン情報をユーザーエージェント文字列および設定ダイアログから除去
- SeaMonkey
- Windows: Advanced Layers の有効化によるいくつかのウェブサイトにおけるパフォーマンスの向上。グラフィック上の問題が発生する場合には、”layers.mlgpu.enabled” を false にすることで無効化できる
- SeaMonkey
- Linux: OS ネイティブのアプリ選択を利用するかどうかを設定ペインから選択できるようになった
- SeaMonkey
- モダンテーマにおける、ポップアップ通知のスタイルの改善とカラムヘッダーへの表示順の矢印の表示
- SeaMonkey
- ブックマークパネルにおけるカラムピッカーとフォルダービューの復活
- SeaMonkey
- 「右側のタブをすべて閉じる」機能を実装
- SeaMonkey
- メールニュースタブをバックグラウンドで開くかどうかの設定をブラウザータブの設定から分離し、メールとニュースグループの設定ペインから設定できるようになった
- SeaMonkey
- ニュースグループへの返信時に受信者が設定されない問題を修正
- SeaMonkey
- アドレス帳の名前の重複を避けるようになった
- SeaMonkey
- Lunix: gtk3 を使用するようになった。これにより問題が起きた場合には、バグを登録し Switch Linux builds to GTK3 with SeaMonkey 2.49 に関連付けされたい。SeaMonkey だけでなく Thunderbird、Firefox においても同様の問題が発生している
セキュリティ修正
本項執筆時点で、新機能および改良点の詳細は公開されていないが、 Firefox ESR 60.3/Thunderbird 60.3 相当のセキュリティ修正に加え、Firefox 74 系列からのバックポートによるセキュリティ修正が行われている。
SeaMonkey 2.53.2 は Windows, Mac, Linux 版が用意され、SeaMonkey Project ウェブサイト より日本語を含む 22 言語に対応した各言語版がダウンロード可能である。ほとんどの環境において既存の SeaMonkey ユーザへの自動アップデート経由での通知および手動でのアップデートは提供されていないため、インストーラをダウンロードし既存のバージョンに上書きインストールする必要がある。
- ダウンロード:
- SeaMonkey 2.53.2
- リリースノート:
- Release notes