Firefox 146 がリリースされた
Mozilla は米国時間 2025 年 12 月 9 日、安定性及びセキュリティ問題の修正を含む Firefox のメジャーアップデート版である Firefox 146.0 をリリースした。延長サポート版である Firefox ESR もバージョン 140.6.0 および 115.31.0 がリリースされている。
Firefox 146.0 での新機能や改良点、セキュリティ修正、既知の問題は次のとおり。
新機能及び改良点
- 新機能
- (段階的な展開) Windows: Windows ユーザーが Firefox バックアップを有効にすると、パスワード、ブックマークなどが自動的に保護されるようになった。Firefox のデータは毎日デバイスに保存され、パスワードで暗号化される。新規セットアップの際に、バックアップファイルを選択してデータを復元できる。この機能は現時点では Windows でのみ利用可能であり、他の OS でも近い将来利用可能となる

- 新機能
- macOS: 分離された GPU プロセスが既定で有効となった。これには WebGPU、WebGL、Firefox 自身の WebRender が含まれる。この機能により、グラフィックに関する致命的なエラーが発生してもブラウザー全体がクラッシュすることはなくなり、GPU プロセスのみが自動的に再起動される
- 新機能
- Firefox の調査へ参加、あるいはテレメトリ情報の送信に同意していないデスクトップユーザーでも Firefox Labs が利用可能となった。より多くのユーザーが実験的な機能を利用可能となる
- 新機能
- (段階的な展開) 検索語句の入力中に検索結果のページをスキップして直接アクセスできるようになった

- 新機能
- (段階的な展開) EU を含む複数の地域において、新しいタブの天気のオプトインワークフローを利用可能となった。現在地情報を利用するか手動で場所を指定するか選択できる

- 新機能
- Linux: Wayland 環境において分数スケーリングをネイティブサポート
- 新機能
- フランス、ドイツ、イタリアの英語版ユーザー向けに、アドレスバーに祝日や重要な日付のサジェストが英語で表示されるようになった
- 修正
<input type="time">および<input type="datetime-local">でタイムピッカーが有効な場合、完全なキーボードおよびアシスト技術がサポートされるようになった。このアップデートにより、モーションを減らしたいユーザー向けの挙動も改善される- 変更
- 配色設定 において、色のサンプルの横に色名が表示されるようになった。これにより、テキスト、拝啓、リンク色の調整が容易となる

- 変更
- Windows: Direct2D のサポートを終了。Direct2D を必要とする場合、Firefox ESR 140 系列を使用されたい
- Enterprise
- エンタープライズ用途向けの詳細は Firefox for Enterprise 146 リリースノート を参照されたい
- Developer
- DTLS 1.3 のハンドシェイク中にポスト量子暗号鍵共有を送信することで、WebRTC で ML-KEM を利用可能となった。ML-KEM は次世代の公開鍵システムであり、量子コンピューターでの攻撃への耐性を持つと考えられている
- Developer
- WebCrypto において、圧縮された楕円曲線ポイントをサポート。公開鍵のサイズをおよそ半分にすることが可能となり、帯域、ストレージの節約に寄与する
- Developer
- Skia グラフィックライブラリーを更新し、レンダリングのパフォーマンス、互換性を向上
- Developer
- インスペクターのルールビューにおいて、使用されていない CSS のカスタムプロパティが既定で非表示となった
- Web Platform
- @scope ルールをサポート。DOM のサブツリーのスタイルを厳格化することが可能となり、オーバーレイ依存のセレクタを記述する必要がなくなった
- Web Platform
contrast-color()CSS 関数をサポート。この関数は色の値を取得し補色を返す。現時点で 規格 上の補色は黒および白に限定されているが、将来的にこの制限は除去される予定である (詳細)- Web Platform
- text-decoration-inset プロパティ を導入。線装飾の始点・終点を調節可能となる
- Web Platform
- CSS の
widthおよびheightプロパティにおいてレガシーな-webkit-fill-availableキーワードをサポート。このキーワードはより新しい標準化されたstretchキーワードのエイリアスとなる (このキーワードは Firefox ではまだサポートされていない)
セキュリティ修正
このアップデートでのセキュリティ問題への修正は合計 13 件、重要度区分において 高 5 件、中 8 件が修正されている。
- CVE-2025-14321
- Use-after-free in the WebRTC: Signaling component
- CVE-2025-14322
- Sandbox escape due to incorrect boundary conditions in the Graphics: CanvasWebGL component
- CVE-2025-14323
- Privilege escalation in the DOM: Notifications component
- CVE-2025-14324
- JIT miscompilation in the JavaScript Engine: JIT component
- CVE-2025-14325
- JIT miscompilation in the JavaScript Engine: JIT component
- CVE-2025-14326
- Use-after-free in the Audio/Video: GMP component
- CVE-2025-14327
- Spoofing issue in the Downloads Panel component
- CVE-2025-14328
- Privilege escalation in the Netmonitor component
- CVE-2025-14329
- Privilege escalation in the Netmonitor component
- CVE-2025-14330
- JIT miscompilation in the JavaScript Engine: JIT component
- CVE-2025-14331
- Same-origin policy bypass in the Request Handling component
- CVE-2025-14332
- Memory safety bugs fixed in Firefox 146 and Thunderbird 146
- CVE-2025-14333
- Memory safety bugs fixed in Firefox ESR 140.6, Thunderbird ESR 140.6, Firefox 146 and Thunderbird 146
既知の問題
- 未解決
- Windows: セカンドモニター上で Firefox を最大化している場合、画面の最上部でタブをクリックしても機能しない (バージョン 147.0 で修正)
Firefox 146.0 についての一般的な情報は リリースノート を、開発者向けの情報は MDN および Mozilla Developer YouTube チャネル を参照されたい。
アップデート及びシステム要件
Firefox 146.0 は Windows, Mac そして Linux 版が用意され、firefox.com ウェブサイトよりダウンロード可能となっている。また各国語版は 日本語ほか 90 か国語以上に対応した Firefox をダウンロード — Firefox よりダウンロードできる。また、既存の Firefox 4 以降のユーザには自動アップデート経由で通知されるが、Firefox メニューの “Firefox について” より手動でアップデートすることも可能だ。
Firefox 146.0 の利用に必要なシステム要件については、Firefox 146 システム要件 を参照されたい。
- ダウンロード:
- 146.0, ESR 140.6.0, 115.31.0
- リリースノート:
- 146.0, ESR 140.6.0, ESR 115.31.0
- セキュリティアドバイザリ:
- MFSA 2025-92 (146.0), MFSA 2025-94 (ESR 140.6.0), MFSA 2025-93 (ESR 115.31.0)


