SeaMonkey 2.53.11 がリリースされた
Mozilla Application Suite の開発をコミュニティベースで継続している The SeaMonkey® Project は米国時間 2022 年 3 月 2 日、マイナーアップデート版である SeaMonkey 2.53.11 をリリースした。
SeaMonkey 2.53.11 は Firefox ESR 60.8 と同じレンダリングエンジン Gecko 60 を搭載しており、バックエンドも Firefox ESR 60.8/Thunderbird 60.8 相当となっている。アプリケーションの内容としては、これまで通りブラウザ、メール & ニュースクライアント、Web 開発ツールを搭載したオールインワンパッケージとなっている。
ユーザープロファイルの構成の変更に伴い、バージョン 2.49.5 以前からのアップグレードに際して以下の注意点がある。
- マスターパスワードを利用している場合にはバージョン 2.53.1 以降へのアップデートの前にこれを解除する必要がある。設定メニューの「マスターパスワードを変更」から、パスワード欄を空白にすることでマスターパスワードを解除できる。「パスワードのリセット」機能を使うと、保存されているすべてのログイン情報が削除されるため注意が必要である。
- アップデートの完了後には、プロファイルフォルダー内の key3.db および cert8.db の 2 つのファイルを削除する必要がある。これはログイン情報を含む古い形式のファイルである。
また、SeaMonkey 2.53.1 および 2.53.2 の言語パックをインストールしている場合には、アップデートの前にこれらをアンインストールしておく必要がある。 これらは SeaMonkey 2.53.x すべてに互換性があるとされているが、実際には異なるバージョンの SeaMonkey で使用すると問題が発生する。アップデート後に、バージョン 2.53.11 の言語パックをインストールする必要がある。
Chatzilla、DOM Inspector、Lightning に加え、SeaMonkey Debug and QA UI のベータ版が本リリースには同梱されている。
新機能及び改良点
このアップデートでは、Firefox ESR 60.8/Thunderbird 60.8 相当の機能修正が行われているほか、以下の SeaMonkey 固有の修正が行われている。
- SeaMonkey
- 廃止された MOZ_EXTENSIONS のチェックを除去 (bug 1749146)
- SeaMonkey
- ChatZilla: ネットワークエディターに接続ボタンを追加 (bug 1736443)
- SeaMonkey
- ChatZilla: freenode の残滓を除去 (bug 1741082)
- SeaMonkey
- ChatZilla: ネットワーク一覧でセキュアでないプロトコルよりセキュアなプロトコルを優先 (bug 1744440)
- SeaMonkey
- Composer: タグ変更のテキストボックスが使用後も消えない問題を修正 bug 1755369.
- SeaMonkey
- デバッグ QA 内のレポジトリリンクを整理 (bug 1746790)
- SeaMonkey
- macOS への参照のスペルミスを修正 (bug 1749144)
- SeaMonkey
- 廃止された Java および Flash への参照を除去 (bug 1749141)
- SeaMonkey
- 証明書の削除ダイアログのヘルプボタンが機能しない問題を修正 (bug 1750386)
- SeaMonkey
- メッセージフィルターのダイアログを、新しい機能に合わせて改善 (bug 1735053)
- SeaMonkey
- Insert キーを新しいメッセージフィルター作成のショートカットとして使用 (bug 1735055)
- SeaMonkey
- SeaMonkey の FilterListDialog で使用される変数を Thunderbird のものと一致するよう変更 (bug 1735056)
- SeaMonkey
- 新しいメッセージフィルターへのコピー機能を実装 (bug 1735057)
- SeaMonkey
- メッセージフィルターに最上部/最下部への移動ボタンを追加 (bug 1735059)
- SeaMonkey
- メッセージフィルターの削除の確認プロンプトを表示させない設定を追加 (bug 1735061)
- SeaMonkey
- FilterListDialog でのフォルダーの取り扱いを整理 (bug 1736425)
- SeaMonkey
- FilterListDialog の更新機能を追加 (bug 1737450)
- SeaMonkey
- FilterListDialog でツリーの代わりにリストボックスを使用 (bug 1746081)
- SeaMonkey
- MsgFilterList(args) が targetFilter を取得して FilterListDialog に渡すようになった (bug 1753891)
- SeaMonkey
- Mail&News’ のスタートページ (start.xhtml) 内の “We” のリンクが機能していない問題を修正 (bug 1748178)
- SeaMonkey
- フィルターダイアログに検索機能を追加 (bug 1749207)
- SeaMonkey
- タスクバーの更新タイマーを idle dispatch に移動 (bug 1746788)
- SeaMonkey
- タブの進捗インジケーターの表示でサブリソースを読み込まないようになった (bug 1746787)
セキュリティ修正
本項執筆時点で、新機能および改良点の詳細は公開されていないが、 Firefox ESR 60.8/Thunderbird 60.8 相当のセキュリティ修正に加え、Firefox ESR 91.6/Thunderbird 91.6 からのバックポートによるセキュリティ修正が行われている。
SeaMonkey 2.53.11 は Windows, Mac, Linux 版が用意され、SeaMonkey Project ウェブサイト より日本語を含む 23 言語に対応した各言語版がダウンロード可能である。本リリースでは、既存のバージョン 2.53 系列の SeaMonkey ユーザへの自動アップデートが提供されている。
- ダウンロード:
- SeaMonkey 2.53.11
- リリースノート:
- Release notes