SeaMonkey 2.53.10 がリリースされた
Mozilla Application Suite の開発をコミュニティベースで継続している The SeaMonkey® Project は米国時間 2021 年 11 月 16 日、マイナーアップデート版である SeaMonkey 2.53.10 をリリースした。
SeaMonkey 2.53.10 は Firefox ESR 60.8 と同じレンダリングエンジン Gecko 60 を搭載しており、バックエンドも Firefox ESR 60.8/Thunderbird 60.8 相当となっている。アプリケーションの内容としては、これまで通りブラウザ、メール & ニュースクライアント、Web 開発ツールを搭載したオールインワンパッケージとなっている。
ユーザープロファイルの構成の変更に伴い、バージョン 2.49.5 以前からのアップグレードに際して以下の注意点がある。
- マスターパスワードを利用している場合にはバージョン 2.53.1 以降へのアップデートの前にこれを解除する必要がある。設定メニューの「マスターパスワードを変更」から、パスワード欄を空白にすることでマスターパスワードを解除できる。「パスワードのリセット」機能を使うと、保存されているすべてのログイン情報が削除されるため注意が必要である。
- アップデートの完了後には、プロファイルフォルダー内の key3.db および cert8.db の 2 つのファイルを削除する必要がある。これはログイン情報を含む古い形式のファイルである。
また、SeaMonkey 2.53.1 および 2.53.2 の言語パックをインストールしている場合には、アップデートの前にこれらをアンインストールしておく必要がある。 これらは SeaMonkey 2.53.x すべてに互換性があるとされているが、実際には異なるバージョンの SeaMonkey で使用すると問題が発生する。アップデート後に、バージョン 2.53.10 の言語パックをインストールする必要がある。
Chatzilla、DOM Inspector、Lightning に加え、SeaMonkey Debug and QA UI のベータ版が本リリースには同梱されている。
新機能及び改良点
このアップデートでは、Firefox ESR 60.8/Thunderbird 60.8 相当の機能修正が行われているほか、以下の SeaMonkey 固有の修正が行われている。
- SeaMonkey
- ChatZilla: testdisplay コマンドに関する修正 (bug 1727976)
- SeaMonkey
- CTCP リクエストを表示 (ACTION および DCC を除く) (bug 1722156)
- SeaMonkey
- IRCv3: server-time をサポート (bug 1724586)
- SeaMonkey
- ChatZilla: ネットワークエディターのダイアログ幅のローカライズに関する注意を追加 (bug 1727977)
- SeaMonkey
- IRCv3: extended-join および account-notify をサポート (bug 1722159)
- SeaMonkey
- ChatZilla: メッセージグループの折り畳みをサポート (bug 1724588)
- SeaMonkey
- ChatZilla: unescapeTagValue のJS 厳格モードでの警告を修正 (bug 1727989)
- SeaMonkey
- IRCv3: invite-notify をサポート (bug 1722161)
- SeaMonkey
- IRCv3: batch をサポート (bug 1724589)
- SeaMonkey
- cZ static.js における addHistory のJS 厳格モードでの警告を修正 (bug 1727992.
- SeaMonkey
- IRCv3: cap-notify をサポート (bug 1722162)
- SeaMonkey
- ChatZilla: collection keys として canonical name を使用しないようになった (bug 1728025)
- SeaMonkey
- IRCv3: TLS および STS をサポート (bug 1722166)
- SeaMonkey
- ChatZilla: IRC サーバーのプロパティの変更のためのヘルパー関数を導入 (bug 1728027)
- SeaMonkey
- IRCv3: MONITOR をサポート (bug 1722174)
- SeaMonkey
- ChatZilla: msg.commasp を使用しないようになった (bug 1726965)
- SeaMonkey
- ChatZilla: リンクをクリックしたときの挙動の変更に shiftKey を使用できるようになった (bug 1713458)
- SeaMonkey
- IRCv3: echo-message をサポート (bug 1722211)
- SeaMonkey
- ChatZilla: /commands が前方一致するものすべてを返すようになった (bug 1726966)
- SeaMonkey
- ChatZilla: リンクの挙動の決定に SeaMonkey の設定が利用されるようになった (bug 1713467)
- SeaMonkey
- ChatZilla: パラメーターをローカライズ可能になった (bug 1724105)
- SeaMonkey
- ChatZilla: identify コマンドを追加し、パスワードマネージャーにフックできるようになった (bug 1713470)
- SeaMonkey
- IRCv3.1: SASL with PLAIN メカニズムを実装 (bug 1717545)
- SeaMonkey
- IRCv3: メッセージタグをサポート (bug 1724584)
- SeaMonkey
- ChatZilla: 最後に閲覧したメッセージを ChatZilla に配信できるようになった (bug 1729159)
- SeaMonkey
- IRCv3: account-tag をサポート (bug 1724585)
- SeaMonkey
- メール: 設定に含まれていなかった “テキストエンコーディング Unicode/UTF-8” を追加 (bug 1679260)
- SeaMonkey
- AppConstants を利用したクラッシュレポーターの検出 (bug 1735236)
- SeaMonkey
- アドオンマネージャーにおいてレガシーアドオンに関するリンクが壊れていた問題を修正 (bug 1656797)
- SeaMonkey
- プライベート情報の消去に関するヘルプとダイアログを更新 (bug 1728911)
- SeaMonkey
- cs_nav_prefs_appearance における typo を修正 (bug 1737473)
- SeaMonkey
- “メニューの編集” のコメントを messageWindow.xul から addressbook.xul へ移動 (bug 1725121)
- SeaMonkey
- メールのタブブラウザーにダミーのタブルーチンを追加 (bug 1735243)
- SeaMonkey
- 新しいタブで開いたときにフォルダーペインとタブ/ウインドウのタイトルが適切に更新されない問題を修正 (bug 1726940)
- SeaMonkey
- ブラウザーのタブバーとは独立してメールのタブバーをコントロールできるようになった (bug 1724515)
- SeaMonkey
- 新しい mail.tabs 設定の任意の値をコピーできるようになった (bug 1729165)
- SeaMonkey
- マスターパスワードとパスワードの設定ペインを一つに統合 (bug 1728099)
- SeaMonkey
- リダイレクトに関する警告の設定を「コンテンツ」から「プライバシーとセキュリティ」ペインへ移動 (bug 1728185)
- SeaMonkey
- ウェブサイトのアイコンに関する設定を「コンテンツ」から「ブラウザー」ペインへ移動 (bug 1727425)
- SeaMonkey
- ブラウザーおよびメールのシステム統合に関する設定を「詳細」ペインへ移動 (bug 1727659)
- SeaMonkey
- メールについての opentabfor.middleclick 設定を独立させた (bug 1727948)
- SeaMonkey
- tabbrowser に removeBrowser ヘルパーを追加 (bug 1730391)
- SeaMonkey
- <stack> の中に <browser> を置くことで、オーバーレイが容易になった (bug 1730392)
- SeaMonkey
- ブラウザーのフォーカスを回避可能になった (bug 1720003)
- SeaMonkey
- SeaMonkey の 32×32 のデフォルトアイコンの下部に明るいストライプがあった問題を修正 (bug 1729153)
- SeaMonkey
- <input type=time> および <input type=date> をサポート (bug 1730408)
- SeaMonkey
- ブラウザータブ上で 1 回だけミドルクリックされたものが 2 回と扱われる問題を修正 (bug 1734407)
- SeaMonkey
- 新しく「保存された検索フォルダー」を作成できない問題を修正 (bug 1738669)
- SeaMonkey
- 標準 http 接続での圧縮を有効化 (bug 1728996)
- SeaMonkey
- Windows 環境における VS2022 でのコンパイルをサポート (bug 1728988)
セキュリティ修正
本項執筆時点で、新機能および改良点の詳細は公開されていないが、 Firefox ESR 60.8/Thunderbird 60.8 相当のセキュリティ修正に加え、Firefox ESR 78.15 系列からのバックポートによるセキュリティ修正が行われている。
SeaMonkey 2.53.10 は Windows, Mac, Linux 版が用意され、SeaMonkey Project ウェブサイト より日本語を含む 23 言語に対応した各言語版がダウンロード可能である。本リリースでは、既存のバージョン 2.53 系列の SeaMonkey ユーザへの自動アップデートが提供されている。
- ダウンロード:
- SeaMonkey 2.53.10
- リリースノート:
- Release notes