SeaMonkey 2.53.9 がリリースされた
Mozilla Application Suite の開発をコミュニティベースで継続している The SeaMonkey® Project は米国時間 2021 年 8 月 26 日、マイナーアップデート版である SeaMonkey 2.53.9 をリリースした。
SeaMonkey 2.53.9 は Firefox ESR 60.8 と同じレンダリングエンジン Gecko 60 を搭載しており、バックエンドも Firefox ESR 60.8/Thunderbird 60.8 相当となっている。アプリケーションの内容としては、これまで通りブラウザ、メール & ニュースクライアント、Web 開発ツールを搭載したオールインワンパッケージとなっている。
ユーザープロファイルの構成の変更に伴い、バージョン 2.49.5 以前からのアップグレードに際して以下の注意点がある。
- マスターパスワードを利用している場合にはバージョン 2.53.1 以降へのアップデートの前にこれを解除する必要がある。設定メニューの「マスターパスワードを変更」から、パスワード欄を空白にすることでマスターパスワードを解除できる。「パスワードのリセット」機能を使うと、保存されているすべてのログイン情報が削除されるため注意が必要である。
- アップデートの完了後には、プロファイルフォルダー内の key3.db および cert8.db の 2 つのファイルを削除する必要がある。これはログイン情報を含む古い形式のファイルである。
また、SeaMonkey 2.53.1 および 2.53.2 の言語パックをインストールしている場合には、アップデートの前にこれらをアンインストールしておく必要がある。 これらは SeaMonkey 2.53.x すべてに互換性があるとされているが、実際には異なるバージョンの SeaMonkey で使用すると問題が発生する。アップデート後に、バージョン 2.53.9 の言語パックをインストールする必要がある。
Chatzilla、DOM Inspector、Lightning に加え、SeaMonkey Debug and QA UI のベータ版が本リリースには同梱されている。
新機能及び改良点
このアップデートでは、Firefox ESR 60.8/Thunderbird 60.8 相当の機能修正が行われているほか、以下の SeaMonkey 固有の修正が行われている。
- SeaMonkey
- 終了時に履歴を削除するオプションを追加 (bug 1621445)
- SeaMonkey
- ChatZilla を削除できるコマンドを追加 (bug 541719)
- SeaMonkey
- ChatZilla のステータスバー上のアイコンを更新 (bug 1710238, bug 1710249)
- SeaMonkey
- ChatZilla が mIRC のカラーコード 99 を解釈できるようになった (bug 1710298)
- SeaMonkey
- Implement IRCv3 のベーシック CAP ネゴシエーション (bug 1717539) および CAP LIST を実装、CAP ACK および CAP LS を更新 (bug 1710313)
- SeaMonkey
- ChatZilla において、絵文字として画像ではなく Unicode を使用するようになった (bug 1711375)。また、絵文字を追加 (bug 1711376)
- SeaMonkey
- ChatZilla において、個別のものではなく SeaMonkey のウェブ検索を使用するようになった (bug 1712498)
- SeaMonkey
- ChatZilla にネットワークエディタを追加 (bug 1716232)
- SeaMonkey
- IRCv3 の以下の実装: away-notify (bug 1717543)、chghost および userhost-in-names (bug 1717544)、self-messaging (bug 1722212)、WHOX (bug 1722214)
- SeaMonkey
- デバッグ QA のサイトの検証と開発のセクションに、SeaMonkey のウェブサイトへのリンクを追加 (bug 1685606)
- SeaMonkey
- 宛先が存在しない場合、送信ボタンを無効化 (bug 104973)
- SeaMonkey
- メッセージを未読とマークするときのモディファイアを除去 (bug 1719216)
セキュリティ修正
本項執筆時点で、新機能および改良点の詳細は公開されていないが、 Firefox ESR 60.8/Thunderbird 60.8 相当のセキュリティ修正に加え、Firefox ESR 78.13 系列からのバックポートによるセキュリティ修正が行われている。
SeaMonkey 2.53.9 は Windows, Mac, Linux 版が用意され、SeaMonkey Project ウェブサイト より日本語を含む 23 言語に対応した各言語版がダウンロード可能である。本リリースでは、既存のバージョン 2.53 系列の SeaMonkey ユーザへの自動アップデートが提供されている。
- ダウンロード:
- SeaMonkey 2.53.9
- リリースノート:
- Release notes