SeaMonkey 2.53.8 がリリースされた
Mozilla Application Suite の開発をコミュニティベースで継続している The SeaMonkey® Project は米国時間 2021 年 6 月 30 日、マイナーアップデート版である SeaMonkey 2.53.8 をリリースした。
SeaMonkey 2.53.8 は Firefox ESR 60.8 と同じレンダリングエンジン Gecko 60 を搭載しており、バックエンドも Firefox ESR 60.8/Thunderbird 60.8 相当となっている。アプリケーションの内容としては、これまで通りブラウザ、メール & ニュースクライアント、Web 開発ツールを搭載したオールインワンパッケージとなっている。
ユーザープロファイルの構成の変更に伴い、バージョン 2.49.5 以前からのアップグレードに際して以下の注意点がある。
- マスターパスワードを利用している場合にはバージョン 2.53.1 以降へのアップデートの前にこれを解除する必要がある。設定メニューの「マスターパスワードを変更」から、パスワード欄を空白にすることでマスターパスワードを解除できる。「パスワードのリセット」機能を使うと、保存されているすべてのログイン情報が削除されるため注意が必要である。
- アップデートの完了後には、プロファイルフォルダー内の key3.db および cert8.db の 2 つのファイルを削除する必要がある。これはログイン情報を含む古い形式のファイルである。
また、SeaMonkey 2.53.1 および 2.53.2 の言語パックをインストールしている場合には、アップデートの前にこれらをアンインストールしておく必要がある。 これらは SeaMonkey 2.53.x すべてに互換性があるとされているが、実際には異なるバージョンの SeaMonkey で使用すると問題が発生する。アップデート後に、バージョン 2.53.8 の言語パックをインストールする必要がある。
Chatzilla、DOM Inspector、Lightning に加え、SeaMonkey Debug and QA UI のベータ版が本リリースには同梱されている。
新機能及び改良点
このアップデートでは、Firefox ESR 60.8/Thunderbird 60.8 相当の機能修正が行われているほか、以下の SeaMonkey 固有の修正が行われている。
- SeaMonkey
- 劇的なパフォーマンスの向上とバグ修正 (bug 1633339, bug 1711050)
- SeaMonkey
- ウェブサイトナビゲーションリンクツールバーのビルドの際に国別コード付きの言語要素を認識できない問題を修正 (bug 134436, bug 1709443)
- SeaMonkey
- SeaMonkey アイコンの速度向上のための最適化および高品質化 (bug 1362210, bug 1699322)
- SeaMonkey
- コマンドラインからのメッセージ作成ウインドウを開く動作において from= オプションをサポート (bug 1628671)
- SeaMonkey
- メッセージ作成ウインドウにおける件名の取り扱いと GenericSendMessage 関数を更新 (bug 1693994
- SeaMonkey
- 表示設定が変更されたときにすべてのメッセージウインドウを更新するようになった (bug 1694765
- SeaMonkey
- 複数のメッセージをまとめて既読/未読とマークする動作の改善 (bug 1700530)
- SeaMonkey
- アドオンマネージャーにおいてバージョン番号を再び表示するようになった (bug 1161183
- SeaMonkey
- ChatZilla において利用可能なネットワークを更新 (libera.chat の追加を含む) (bug 1704392, bug 1712505
- SeaMonkey
- IRC における既定の TLS/SSL ポートを 6697 に変更 (bug 1704280
- SeaMonkey
- ChatZilla および Lightning のアドオン言語パックを削除し、SeaMonkey 本体の言語パックに統合 (bug 1604663
- SeaMonkey
- メッセージ作成ウインドウにおけるメールアドレスのドラッグ & ドロップの挙動を修正 (bug 1712002, bug 1712227
- SeaMonkey
- レガシーアドオンおよびアドオン SDK、アドオンジェネレーター の修正 (bug 1702903)
- SeaMonkey
- DOM Inspector のレポジトリが SeaMonkey 本体 のものに統合されたことにより、個別にチェックアウトする必要がなくなった (bug 1700003)
セキュリティ修正
本項執筆時点で、新機能および改良点の詳細は公開されていないが、 Firefox ESR 60.8/Thunderbird 60.8 相当のセキュリティ修正に加え、Firefox ESR 78.11 系列からのバックポートによるセキュリティ修正が行われている。
SeaMonkey 2.53.8 は Windows, Mac, Linux 版が用意され、SeaMonkey Project ウェブサイト より日本語を含む 23 言語に対応した各言語版がダウンロード可能である。ほとんどの環境において既存の SeaMonkey ユーザへの自動アップデート経由での通知および手動でのアップデートは提供されていないため、インストーラをダウンロードし既存のバージョンに上書きインストールする必要がある。
- ダウンロード:
- SeaMonkey 2.53.8
- リリースノート:
- Release notes