Firefox 81 がリリースされた
Mozilla は米国時間 2020 年 9 月 22 日、安定性及びセキュリティ問題の修正を含む Firefox のメジャーアップデート版である Firefox 81.0 をリリースした。延長サポート版である Firefox ESR もバージョン 78.3.0 にアップデートされている。
Firefox 81 は macOS バージョン 10.9, 10.10, 10.11 をサポートしない。これらのバージョンの macOS を利用している場合には、延長サポート版 (ESR) 78.x が来年まで継続してリリースされるためそちらへ移行されたい。
Firefox 81.0 での新機能や改良点、セキュリティ修正、既知の問題は次のとおり。
新機能及び改良点
- 新機能
- キーボードやヘッドセットからの操作で 音声や動画の再生の一時停止、再生 が可能となった。これにより、他のタブ、ブラウザーを開いているときや、コンピューターがロックされているときでもメディアをコントロールできるようになる
- 新機能
- 既定、Dark、Light の 3 つのテーマに加えて、ボタン、メニュー、ウインドウなどカラフルな外観を持つ Alpenglow テーマが追加された。メニューから テーマを管理 できる
- 新機能
- アメリカおよびカナダのユーザー向けに、クレジットカードの情報の保存、管理、自動補完機能が提供される。この機能はほかのユーザーにも段階的に提供される予定である。
- 新機能
- AcroForm をサポート。PDF フォームへの入力、印刷、保存をサポートし、PDF ビューアーの外観も新しくなる
- 新機能
- オーストリア、ベルギー、スイスにおけるドイツ語版のユーザー向けに、新しいタブを開いた際の Pocket によるおすすめ機能が有効化された。表示されないときには こちらの記事 を参照されたい。Pocket は Firefox の新しいタブ以外にも、iOS および Android のアプリとしても提供される
- 修正
- Firefox のアップデート後に、言語パックの既定の言語が英語に戻ってしまう問題を修正
- 修正
- ブラウザーネイティブの HTML5 オーディオ/ビデオのコントロールのアクセシビリティに関する複数の修正:
- オーディオ/ビデオのコントロールが見えない状態でもスクリーンリーダーへのアクセスが可能となった
- オーディオ/ビデオの経過時間・合計時間をスクリーンリーダーに出力できるようになった
- ラベルが付与されていなかったコントロールにラベルが付与され、スクリーンリーダーから同定可能となった
- ユーザーが要求しない限り、スクリーンリーダーに対して (閲覧の邪魔となる) 進行状況に関する情報を提供しなくなった
- 変更
- 新しい図像学に基づき、どのようなビデオであってもピクチャーインピクチャーをより簡単に見つけられるようになった
- 変更
- ブックマークをインポートすると、ブックマークツールバーが自動的に表示されるようになった。これにより、重要なサイトをすぐに見つけられるようになる
- 変更
- ファイルタイプとして .xml, .svg, .webp をサポート。これにより、ダウンロードしたこれらのファイルを Firefox で表示できるようになる
- Enterprise
- エンタープライズ用途向けの詳細は Firefox for Enterprise 81 リリースノート を参照されたい
- 開発者
- デバッガーパネルにおいて TypeScript ファイルを適切に 識別できる ようになった。また、対応するアイコンによってラベルを付けることで、一覧中からこれらのファイルを簡単に見つけられるようになった
- 開発者
- XSSI prevention characters を用いた HTTP JSON レスポンスを適切に一時停止できるようになり、JSON データを拡張可能なツリーのフォーム中に表現できるようになった。これにより、ツリー UI 中の HTTP レスポンスの探索が容易となる
- 開発者
- スクリプトの初期段階 における一時停止が可能となった。これは、スクリプトの実行やタイマーによる再度エフェクトのデバッグと容易とする
- 開発者
- 開発者ツールの色覚多様性のシミュレーションを より正確 なものとした。1 型 3 色覚 (赤色弱)、2 型 3 色覚 (緑色弱)、3 型 3 色覚 (青色弱) を削除し、1 色覚 (全色盲) を追加
セキュリティ修正
このアップデートでのセキュリティ問題への修正は合計 6 件、重要度区分において 高 3 件、中 3 件が修正されている。
- CVE-2020-15675
- Use-After-Free in WebGL
- CVE-2020-15677
- Download origin spoofing via redirect
- CVE-2020-15676
- XSS when pasting attacker-controlled data into a contenteditable element
- CVE-2020-15678
- When recursing through layers while scrolling, an iterator may have become invalid, resulting in a potential use-after-free scenario
- CVE-2020-15673
- Memory safety bugs fixed in Firefox 81 and Firefox ESR 78.3
- CVE-2020-15674
- Memory safety bugs fixed in Firefox 81
Firefox 81.0 で修正された全ての問題は Mozilla.org bugs fixes (英語) を、一般的な情報は リリースノート を、開発者向けの情報は MDN および Mozilla Developer YouTube チャネル を参照されたい。
アップデート及びシステム要件
Firefox 81.0 は Windows, Mac そして Linux 版が用意され、Mozilla ウェブサイトよりダウンロード可能となっている。また、80 以上の言語に対応した各国語版は 次世代ブラウザ Firefox – 各国語版のダウンロード よりダウンロード可能となっている。また、既存の Firefox 4 以降のユーザには自動アップデート経由で通知されるが、Firefox メニューの “Firefox について” より手動でアップデートすることも可能だ。
Firefox 81.0 の利用に必要なシステム要件については、Firefox 81 システム要件 を参照されたい。macOS における OS 要件および Linux におけるシステム要件の変更に注意されたい。
- ダウンロード:
- 81.0, ESR 78.3.0
- リリースノート:
- 81.0, ESR 78.3.0
- セキュリティアドバイザリ:
- MFSA 2020-42 (81.0), MFSA 2020-43 (ESR 78.3.0)
- 修正されたバグ:
- 81.0, ESR 78.3.0 (英語)