SeaMonkey 2.53.3 がリリースされた
Mozilla Application Suite の開発をコミュニティベースで継続している The SeaMonkey® Project は米国時間 2020 年 7 月 7 日、安定性及びセキュリティ問題を修正を含む SeaMonkey のメジャーアップデート版である SeaMonkey 2.53.3 をリリースした。
SeaMonkey 2.53.3 は Firefox ESR 60.4 と同じレンダリングエンジン Gecko 60 を搭載しており、バックエンドも Firefox ESR 60.4/Thunderbird 60.4 相当となっている。アプリケーションの内容としては、これまで通りブラウザ、メール & ニュースクライアント、Web 開発ツールを搭載したオールインワンパッケージとなっている。
ユーザープロファイルの構成の変更に伴い、バージョン 2.49.5 以前からのアップグレードに際して以下の注意点がある。
- マスターパスワードを利用している場合にはバージョン 2.53.1 以降へのアップデートの前にこれを解除する必要がある。設定メニューの「マスターパスワードを変更」から、パスワード欄を空白にすることでマスターパスワードを解除できる。「パスワードのリセット」機能を使うと、保存されているすべてのログイン情報が削除されるため注意が必要である。
- アップデートの完了後には、プロファイルフォルダー内の key3.db および cert8.db の 2 つのファイルを削除する必要がある。これはログイン情報を含む古い形式のファイルである。
また、SeaMonkey 2.53.1 および 2.53.2 の言語パックをインストールしている場合には、アップデートの前にこれらをアンインストールしておく必要がある。 これらは SeaMonkey 2.53.x すべてに互換性があるとされているが、実際には異なるバージョンの SeaMonkey で使用すると問題が発生する。アップデート後に、バージョン 2.53.3 の言語パックをインストールする必要がある。
Chatzilla、DOM Inspector、Lightning に加え、SeaMonkey Debug and QA UI のベータ版が本リリースには同梱されている。
新機能及び改良点
このアップデートでは、Firefox ESR 60.4/Thunderbird 60.4 相当の機能修正が行われているほか、以下の SeaMonkey 固有の修正が行われている。
- SeaMonkey
- 数式の挿入に使われる LaTex ツールである TexZilla がバージョン 1.0.2 に更新された
- SeaMonkey
- コンポーザーのツールバーとメッセージ編集ウインドウのツールバーのフォーマットがカスタマイズできるようになった
- SeaMonkey
- アカウントのすべてのフォルダーを一括で既読にできるようになった
- SeaMonkey
- ユーザーエージェント文字列に SeaMonkey を含まないようにするオプションが追加された
- SeaMonkey
- ツールバーとメニューバーを隠す設定が “Preferences->Appearance” に移動された
- SeaMonkey
- ウインドウにタブが一つだけの場合、タブバーが自動的に隠されないよう既定の設定が変更された
- SeaMonkey
- ヘルプページのコンテンツとリンクが更新された
- SeaMonkey
- SeaMonkey の言語パックが本体のバージョンごとに固有のものとなった。これにより、今後のバージョンアップにおいて、言語パックは無効化される
- SeaMonkey
- これまで言語ごとに個別に管理されていた検索エンジンの初期設定が言語共通の単一リソースに集約された (bug 1300198)
- SeaMonkey
- アドレス帳の IM フィールドが更新された。カードビューペインのレイアウト、複数語での検索、アドレス帳を跨いだ検索、アイテムを削除する際のより粒度の細かいプロンプト、コンテキストメニューおよびツールバーの「印刷」メニュー
- SeaMonkey
- 次期リリースでのより多くのフォーマットのサポートのために、マルチメディアサポートが更新された。セキュリティ向上のため、これまで使われてきた libstagefright ライブラリーが除去され、Rust マルチメディアパーサーが使われるようになった
- SeaMonkey
- Lunix: gtk3 を使用するようになった。これにより問題が起きた場合には、バグを登録し Switch Linux builds to GTK3 with SeaMonkey 2.49 に関連付けされたい。SeaMonkey だけでなく Thunderbird、Firefox においても同様の問題が発生している
セキュリティ修正
本項執筆時点で、新機能および改良点の詳細は公開されていないが、 Firefox ESR 60.4/Thunderbird 60.4 相当のセキュリティ修正に加え、Firefox 77 系列からのバックポートによるセキュリティ修正が行われている。
SeaMonkey 2.53.3 は Windows, Mac, Linux 版が用意され、SeaMonkey Project ウェブサイト より日本語を含む 22 言語に対応した各言語版がダウンロード可能である。ほとんどの環境において既存の SeaMonkey ユーザへの自動アップデート経由での通知および手動でのアップデートは提供されていないため、インストーラをダウンロードし既存のバージョンに上書きインストールする必要がある。
- ダウンロード:
- SeaMonkey 2.53.3
- リリースノート:
- Release notes