Firefox 38 がリリースされた
Mozilla は米国時間 2015 年 5 月 12 日、安定性及びセキュリティ問題の修正を含む Firefox のメジャーアップデート版である Firefox 38.0 をリリースした。延長サポート版 である Firefox ESR もバージョン 38.0 にアップデートされている (ESR 31.7.0 も継続してリリースされている)。
Firefox 38.0 での新機能や改良点、セキュリティ修正、既知の問題は次のとおり。
新機能及び改良点
- 新機能
- 設定画面が新しくなり、タブを用いたものになった
- 新機能
- ルビをサポート
- 変更
- ユーザ名及びパスワード用のフィールドでは、autocomplete=off が無効となった
- 変更
- URL パーサが URL のフラグメント部分への設定時のパーセントエンコード、および URL の仕様に従って文字列からフラグメント部分を取得する場合のパーセントデコードを行わなくなった
- 変更
- RegExp.prototype.source が、空の正規表現に対して “(?:)” を返すようになった
- 変更
- speculative connection warmup によってページのロード時間が短くなった
- HTML5
- Web Workers から WebSocket が利用できるようになった
- HTML5
- BroadcastChannel API の実装 (詳細は hacks ブログの記事 を参照されたい)
- HTML5
- srcset 属性と picture 要素が実装され、レスポンシブ・イメージが利用できるようになった
- HTML5
- DOM3 イベントの KeyboardEvent.code の実装
- HTML5
- Mac OS X:Media Source Extensions (MSE) API の一部分が実装され、Youtube のネイティブ HTML5 再生が可能になった
- HTML5
- Encrypted Media Extensions (EME) API が実装され、暗号化された動画や音声を再生できるようになった
- HTML5
- EME を利用して DRM コンテンツを再生するために、Adobe Primetime Content Decryption Module (CDM) が自動的にダウンロードされる
- 開発者
- 最適化によって削除される変数が、デバッガから確認できるようになった
- 開発者
- XMLHttpRequest のログが視覚的にラベルづけされてWeb コンソールに表示されるようになった。また、通信ログから XMLHttpRequest のみを抜き出すことが可能になった
- 開発者
- WebRTC で複数ストリームの利用と、再ネゴシエーションをサポート
- 開発者
- コンソールで copy コマンドが利用できるようになった
セキュリティ修正
このアップデートでのセキュリティ問題への修正は合計 13 件、重要度区分において 最高 5 件、高 5 件、中 2 件、低 1 件が修正されている。
- MFSA 2015-58
- Windows 版 Mozilla Updater がアプリケーションディレクトリ外で実行できてしまう
- MFSA 2015-57
- IPC チャンネルメッセージを通じた特権昇格
- MFSA 2015-56
- 信頼されたページをホストしている信頼できないサイトが webchannel レスポンスを傍受できてしまう
- MFSA 2015-55
- MP4 動画メタデータ解析時のバッファオーバーフローと境界外読み取り
- MFSA 2015-54
- 圧縮 XML 解析時のバッファオーバーフロー
- MFSA 2015-53
- シャットダウン中の Media Decoder Thread 作成による解放後使用
- MFSA 2015-52
- 機密情報を含む恐れのある URL エンコード情報が Android logcat へ書き込まれる
- MFSA 2015-51
- 縦書き有効時の文字列処理中の解放後使用
- MFSA 2015-50
- asm.js 検証時の境界外読み書き
- MFSA 2015-49
- 中クリックやコンテキストメニューによってリンクが開かれた場合にリファラポリシーが無視される
- MFSA 2015-48
- SVG コンテンツと CSS によるバッファオーバーフロー
- MFSA 2015-47
- Linux Gstreamer による H.264 動画解析中のバッファオーバーフロー
- MFSA 2015-46
- 様々なメモリ安全性の問題 (rv:38.0 / rv:31.7)
既知の問題
- 未解決
- ビューポートを変更した際に、レスポンシブイメージが更新されないことがある
Firefox 38.0 で修正された全ての問題は Mozilla.org bugs fixes (英語) を、一般的な情報は リリースノート を、開発者向けの情報は MDN を参照されたい。
アップデート及びシステム要件
Firefox 38.0 は Windows, Mac そして Linux 版が用意され、Mozilla Japan ウェブサイトよりダウンロード可能となっている。また、80 以上の言語に対応した各国語版は 次世代ブラウザ Firefox – 各国語版のダウンロード よりダウンロード可能となっている。また、既存の Firefox 4 以降のユーザには自動アップデート経由で通知されるが、Firefox メニューの “Firefox について” より手動でアップデートすることも可能だ。
Firefox 38.0 の利用に必要なシステム要件については、Firefox 38 システム要件 を参照されたい。
- ダウンロード:
- 38.0, ESR 38.0, ESR 31.7.0
- リリースノート:
- 38.0, ESR 38.0, ESR 31.7.0
- セキュリティアドバイザリ:
- 38.0, ESR 38.0, ESR 31.7.0
- 修正されたバグ:
- 38.0, ESR 38.0, ESR 31.7.0 (英語)