SeaMonkey 2.29 がリリースされた
Mozilla Application Suite の開発をコミュニティベースで継続している The SeaMonkey® Project は米国時間 2014 年 9 月 7 日、安定性及びセキュリティ問題を修正を含む SeaMonkey のメジャーアップデート版である SeaMonkey 2.29 をリリースした。
本来リリースされるはずであった SeaMonkey 2.27 および 2.28 は、Gecko プラットフォームにおいて新しいシステムライブラリが要求されるようになったことから必要であったビルドシステムの更新が間に合わず、キャンセルされていた。そのため SeaMonkey 2.29 が 3 サイクル振りのメジャーアップデートとなる。
SeaMonkey 2.29 は Firefox 32 と同じレンダリングエンジン Gecko 32 を搭載しており、バックエンドも Firefox 32/Thunderbird 32 Beta 相当となっている。アプリケーションの内容としては、これまで通りブラウザ、メール & ニュースクライアント、Chatzilla、Web 開発ツールを搭載したオールインワンパッケージとなっている。
新機能及び改良点
- SeaMonkey
- ロケーションバーにマウスをホバーすることで、長い URL がツールチップ上に表示されるようになった
- SeaMonkey
- HTTPS である URL のロケーションバーでのカラー表示を、設定から無効にすることができるようになった
- SeaMonkey
- いくつかの検索エンジンを自動的に検出することができるようになった
- SeaMonkey
- パッドロックアイコンがコンテキストメニューに表示されるようになった
- SeaMonkey
- コンポーザで、ダイアログを使って LaTeX および MathML の数式を挿入することができるようになった
- SeaMonkey
- フィードのカテゴリのタグに応じてフィードアイテムが自動的にタグ付けされるようになった
- SeaMonkey
- メッセージ作成ウインドウでの検索で、検索ツールバーが表示されるようになった
- SeaMonkey
- POP サーバからメッセージをダウンロードするときに、アカウント名がステータスバーに表示されるようになった
- SeaMonkey
- 返信ヘッダのカスタマイズにおける国際化の改善 (mailnews.reply_header_*)
- SeaMonkey
- メッセージ作成ウインドウでの連絡先の自動補完で、個々のキーワードを別々に検索するようになった (AND 検索)
- SeaMonkey
- 括弧を含む連絡先を検索できるようになった
- 新機能
- 新しい HTTP キャッシュ (v2) が標準で有効になった (詳細)
- 新機能
- 世代別 GC の統合
- 新機能
- 公開鍵のピンニングが有効になった (詳細)
- 新機能
- 検索ツールバーに検索結果の件数が表示されるようになった
- 変更
- いくつかの 1024 bit ルート証明書 が削除され無効になった
- 新機能
- mozilla::pkix が標準の証明書検証器となった (詳細)
- 変更
- capability.policy.* を利用してサイト特有の許可設定を行う CAPS が削除された。最も大きな注意点として、CAPS を利用してクリップボードへのアクセス許可を行えなくなった。checkloaduri は唯一の例外として、以前と同様、file:// URL からのロードの許可のために利用できる
- HTML5
- WebVTT が実装され、利用できるようになった (詳細)
- HTML5
- CSS variables が実装された (詳細)
- 開発者
- CSP 1.1 の nonce-source と hash-source が標準で利用できるようになった
- 開発者
- 機能拡張にバンドルされているもの、およびホワイトリストに記載されているものを除き、プラグイン利用には設定が必要になった (blog post)
- 新機能
- GStreamer 1.0 をサポート
- 新機能
- NTLMv2 以前の安全でない NTLM 認証が利用できなくなった (Bug 828183)
- 修正
- パスワードマネージャがパスワードの保存を尋ねる場合、autocomplete=”off” を無視するようになった (Bug 956906)
セキュリティ修正
このアップデートでのセキュリティ問題への修正は合計 6 件、重要度区分において最高 3 件、高 2 件、中 1 件が修正されている。
- MFSA 2014-72
- テキスト方向設定時の解放後使用
- MFSA 2014-71
- file: プロトコルを通じたプロファイルディレクト内ファイルへのアクセス
- MFSA 2014-70
- Web Audio 音声タイムライン内の境界外読み取り
- MFSA 2014-69
- GIF 描画中の未初期化メモリ使用
- MFSA 2014-68
- DOM による SVG 操作中の解放後使用
- MFSA 2014-67
- 様々なメモリ安全性の問題 (rv:32.0 / rv:31.1 / rv:24.8)
SeaMonkey 2.29 は Windows, Mac, Linux 版が用意され、SeaMonkey Project ウェブサイト より日本語を含む 24 言語に対応した各言語版がダウンロード可能である。既存の SeaMonkey ユーザには自動アップデート経由で通知されるが、手動でアップデートすることも可能だ。
- ダウンロード:
- SeaMonkey 2.29
- リリースノート:
- Release notes
- セキュリティアドバイザリ:
- SeaMonkey 2.29 で修正済み