SeaMonkey 2.0 がリリースされた
Mozilla Application Suite の開発をコミュニティベースで継続している SeaMonkey Project は、米国太平洋夏時間 10 月 27 日、2 年 9 か月ぶりのメジャーアップデートとなる SeaMonkey 2.0 をリリースした。
SeaMonkey 2.0 リリースノート によると、SeaMonkey 2.0 は Firefox 3.5.4 と同じレンダリングエンジン Gecko 1.9.1.4 を搭載しているだけでなく、バックエンドが Firefox 3.5/Thunderbird 3.0 相当に刷新されている。特にXUL アプリケーションのために Gecko 上に構築された API セットである Toolkit を採用したことは、プロファイルやアドオンの管理、Chrome の登録、自動更新サービスなどこれまで SeaMonkey に待ち望まれてきた機能をもたらすことなり、格段に大きな前進といえる。SeaMonkey 1.1 のバックエンドが Mozilla Suite 時代の xpfe であったことと比較すると、レンダリングだけでなくすべての面で新たに作り直されたと言っても過言ではないだろう。アプリケーションの内容としては、これまで通りブラウザ、メール & ニュースクライアント、Composer、Chatzilla、Web 開発ツールを搭載したオールインワンパッケージとなっている。
注目すべき新機能、変更点としては
- Gecko 1.9.1 の採用によるレンダリング性能の改善および最新の Web 標準技術への対応
- Just-in-Time コンパイラ TraceMonkey 搭載による JavaScript のパフォーマンス、安定性の向上
- アドオンマネージャの搭載
- セッション復元機能の搭載
- 「閉じたタブを開く」機能の搭載
- SQLite の採用
- ツールバーのカスタマイズの自由度の向上
- メール & ニュースクライアントへの RSS、Atom フィード購読機能の搭載
- メール & ニュースクライアントへのタブ機能の搭載
- ダウンロードマネージャ、パスワードマネージャ、Cookie マネージャ、フォームマネージャの改良
- アイコン、テーマの刷新
- FUEL、STEEL からなる SMILE の搭載
が挙げられる。TraceMonkey は JavaScript の Just-in-time コンパイラであり、JavaScript の実行が大幅に高速化する。これにより、Ajax など JavaScript を多用するコンテンツでのパフォーマンスの向上が期待できる。また、HTML5 の <audio>, <video> 要素に対応し、ネイティブで Ogg 形式と WAV 形式のコンテンツが再生可能である。
なお、SeaMonkey 2.0 から既定のプロファイルの場所が変更されている。これまでの SeaMonkey 1.x や Thunderbird のプロファイルは自動的にコピーされるが、サードパーティのアドオンは引き継がれないことに注意して欲しい。
また、Firefox 3.x、Thunderbird 3.0 と同様システム要件も変更されており、Windows 95、98、Me、NT4 および Mac OS X 10.2 (Jaguar)、10.3 (Panther) 上では動作しない。
SeaMonkey 2.0 は、Windows, Mac そして Linux 版が用意され、SeaMonkey Project ウェブサイト よりダウンロード可能となっている。また、17 言語に対応した各言語版も同じくダウンロードできる。残念ながら日本語版は現時点ではリリースされていない。SeaMonkey.jp においてテスト中の日本語パック (xpi 形式) が公開されているので、一足先に英語版に導入してみるのもいいだろう。SeaMonkey 2.0 日本語版についての情報は、日本語化を担当しているとおやま氏のブログを参照されたい。
SeaMonkey 1.1 のリリース後、3 年あまりを経て公開された SeaMonkey 2.0 であるが、Web ブラウザの世界は大きく変化を続けている。Firefox、Thunderbird とは異なるポジションからの SeaMonkey の新たな展開を期待したい。
- ダウンロード :
- SeaMonkey Project
- リリースノート :
- SeaMonkey 2.0